生きた化石と言われるシーラカンス。学校の授業で教わった方が多いと思います。
最近では「あつまれ動物の森」で知った方も少なくないと思います。
恐竜と同時代に絶滅したと思われ、この頃に絶滅したほかの生き物のように化石でしか見つかっていなかったから、「生きた化石」と言われるようになりました。
ところが、生きているシーラカンスが見つかったのです。
12月20日がシーラカンスの日と呼ばれるのは、1952年12月20日アフリカ・マダガスカル島沖で、重さ88ポンド(約40㎏)のシーラカンスが捕獲され、学術調査が行われたからです。
1938年に南アフリカで、イーストロンドン博物館の若い学芸員であるマージョリー・コートニー・ラティマー(Marjorie Courtenay-Latimer)女史がチャラムナ(Chalumna)川の河口付近でトロール船によって獲られた、山積みの魚の中からシーラカンスを発見しました。
この時は、冷蔵庫で保存していたものの、一部が腐りかけていたのでやむなくはく製にしました。
その後、南アフリカの周辺海域を捜索し、ポスターで情報収集したのですが、実際に捕獲されて学術調査が行われたのは1952年まで待たなくてはいけませんでした。学術調査はこれが初めてのことで、それ以前は7500万年前に恐竜と一緒に絶滅したと考えられていました。
その後、約200個体が捕獲され。その大半はマダガスカルの北西の海岸沖のコモロ諸島のうちの2海域(西インド洋)で捕獲され、他は数匹の南アフリカ、モザンビークおよびマダガスカルから捕らえら、半分が科学的な研究に使われたそうです。
その後、1997年にインドネシアなどで確認され、いまも海の深いところで元気に暮らしていると分かりました。それも、太古の地層から見つかる化石とほとんど変わらない姿だそうです。
シーラカンスとは?
シーラカンスの学名は「Coelacanthiformes(シーラカンス目)」、英名は「Coelacanth(シーラカンス)」です。生物学上の学名を「ラティメリア・カルムナエ(Latimeria chalumnae)」といいます。約4億前の古生代デボン紀に出現して広く世界の水域に栄えていました。
1952年コモロ諸島でシーラカンスは捕獲されました。コモロ諸島の人々はシーラカンスを「ゴンベッサ」と呼んでいて、「食えない魚」、「使えない魚」という意味でした。しかし、シーラカンスを釣り上げると、高く買ってもらえるので、「幸せを呼ぶ魚」という意味に変わりました。
シーラカンスは深海魚
水深200m以上の「深海」と呼ばれる層に生息する魚介類が一般的に深海魚と呼ばれています。シーラカンスは水深150~700メートルに住む深海魚ですが、その生態は謎に満ちています。
シーラカンスは、水深200m(深海の入口)くらいにある洞窟で群れて暮らしているそうです。水深40メートルから600メートル以深の幅広いエリアで、あまり早く泳げないので漂いながら近寄るものを加えて食べるタイプで、魚やイカなどを食べます。
捕獲されたシーラカンスのお腹の中からは、リュウキュウホラアナゴのような長い深海魚が丸ごと登場することもあり、「逆立ちしつつ丸のみ」スタイルのお食事のようです。
沼津港深海水族館(http://www.numazu-deepsea.com/coelacanth)に展示されているシーラカンスの胃からは、サバの仲間やイカが出てきたそうです。
そういえば、アニメ「千と千尋の神隠し」の中で、千尋の父と母が露店でシーラカンスの胃袋を食べていましたね。
シーラカンスの特徴は?
シーラカンスの大きな特徴としては、背骨がないことです。固い背骨の代わりに脊柱(ギリシャ語でシーラカンス)と呼ばれるホース状の管が頭から尾鰭(おびれ)までつながっていて、その中は油のような液体で満たされています。
ほかにも、脳や心臓がとってもミニサイズとか、鼻で電気を感じるらしいなど、シーラカンスにはたくさん特徴があります。なかでもふつうの魚と完全に違っているのは、シーラカンスは、ヒレの数が全部で8枚あります。体内には浮き袋もありますが、他の深海魚とは違い、空気が入っているわけでなく、空気の代わりに脂肪が入っているんです。
また、シーラカンスは魚ではありえないくらい死亡率が低く、不老のまま100歳くらいまで生きているという研究報告もあるそうです。
しかもシーラカンスは、赤ちゃんを産むそうです!
卵をお腹の中で孵(かえ)すのですが、解剖してみたら、ほぼ大人と同じ形で、30cmもの大きさに育った幼魚が入っていたそうです。ただ、いつどうやって出産するのかなどは、分かっていないのです。とっても謎に満ちた魚ですね。
シーラカンスが絶滅しなかった理由は?
シーラカンスの仲間は26に分類されていて、現在も生きた状態で確認されているのは、深海に潜むラティメリアのみです。
川などに住んでいたとされる他のシーラカンスはすべて絶滅しており、化石でのみ見つかっています。では、深海にとどまったシーラカンスは、どうして生き残れたのでしょうか?
一説によると、3億5千万年の間、ほぼ変わることのなかった「深海の環境」によるものだと考えられています。
深海生物に「生きた化石」と呼ばれる生物が多いのも、同じようにほぼ変わることのなかった「深海の環境」が理由と思われます。
まとめ
「生きた化石」と言われるシーラカンス。生態が良くわかっていないから、知れば知るほど謎に満ちていますね。
ただ、赤ちゃんを産んだり、背骨がなかったり、ヒレがほかの魚よりも多い8本もあるなんて、本当にとっても不思議!としか思えません!
私はまだ標本のシーラカンスを見たことがないのですが、時間があれば水族館でシーラカンスの標本を個の目で見てみたいと思います。