冬になると口溶けのよい期間限定のチョコレートがコンビニやスーパーのお菓子売り場に並び始めます。
また、最近では夏場でもミント風味のさっぱりとしたフレーバーのチョコレートが出たりと一年を通してチョコレートを見ない日はないのではないでしょうか。
今回は、そんな「チョコレートの名前の由来」についてご紹介していきます。
チョコレートという名前の由来
チョコレートと聞くと、まず固形のものを思い浮かべるかと思います。
しかし、チョコレートの始まりはじつはカカオ豆をすり潰しただけの苦い液体だったのです。
昔のメキシコ(アステカ)のナワトル語で苦い水を意味する「Chocolatre(ショコラトル)」と呼ばれていました。
アステカというと歴史の授業で習ったように一文明が栄えた場所ですね。
そんなショコラトルが世界中に広まるようになったのは、大航海時代が始まったおかげです。
ヨーロッパからメキシコ遠征でやってきたフェルナンド・コルテスという将軍は、客人としてもてなされその際にショコラトルを口にします。
始めて口にする不思議な味に驚き、その原料であるカカオ豆を自国へと持ち帰り、そこから世界中へと広まったのです。
近世後期にはオランダ語で「ショコラート」と呼ばれ、明治期にはドイツ語で「ショコラーデ」フランス語で「ショコラ」と呼ばれるようになりました。
いろんな言語圏へチョコレートが広まったわけですが、言葉の音に違いがあるため「チョコレート」だったり「ショコラ」だったりと呼び方に違いが出ています。
チョコレートは薬やお金だったってホント!?
昔のチョコレートは、薬として飲まれていたのはご存じでしょうか?
チョコレートの名前の由来でもある「ショコラトル」はその名の通り苦い液体でしたが、元気になるとして、当時のアステカの皇帝は一日にたくさん飲んでいました。
たしかに高カカオのチョコレートはとても苦く、思わず顔をしかめてしまうほどですが、毎日続けていればからだによいとされていますね。
また、16世紀のスペイン人神父ホセ・デ・アコスタという人は「非常に不快な味のするかすや泡があり、体験したことがないほど気分が悪くなる。だが現地の者たちには大変尊ばれており、高貴な来訪者をもてなすのに用いられる。この国に慣れ親しんだスペイン人ならば男女を問わずこの飲み物に貪欲となる。彼らはそれを飲むことで暑さや寒さその他さまざまなものが和らぐと言い、唐辛子を大量に入れる。さらに胃腸に良くカタル予防になると肌にも貼り付ける。」(日本語版ウィキペディアより)と書いています。
良薬は口に苦しといいますが、この苦い液体が人々の元気の源でもあったのですね。
また、当時のアステカ王国では、カカオは通貨としても流通していました。
お金としても使われ、具合が悪ければ薬としても使えるカカオは、アステカ文化の礎ともいえますね。
チョコレートはいつ頃日本に伝わり、なんと呼ばれていた?
はじめてチョコレートを食べた日本人は、支倉常長という人で1617年にメキシコに渡った際に金平糖やパンなどと一緒に出された際に口にしたとされています。
ちなみに、常長は有名な伊達政宗にもつながっているので、もしかしたら伊達政宗もチョコレートを口にしていたかもしれませんね。
書記として最古の記述は、18世紀の長崎の遊女がオランダ人からもらったものを記した「長崎寄合町議事書上控帳」です。
そこには「しょこらあと」として書かれていました。
また、日本へチョコレートが伝わったのは1715年(正徳5年)で、当時は「チョクラーツ」と呼ばれていたとも書かれています。
ほかにも長崎見聞録には「しょくらあと」として記されており、伝えた地方の言葉の違いや日本人のリスニング力などの違いにより、日本国内でもチョコレートの呼び方に違いが出たのかもしれませんね。
呼び方の違いといえば、横浜で有名な崎陽軒シウマイも、社長の出身地で「しゅ」という発音が難しかったため「シウマイ」にしたというのも有名な話ですよね。
そして、初めて国内でチョコレートが販売されたのが1877年(明治10年)です。
当時は「貯古齢糖」として発売されたのですが「牛の血が混じっている」という変なうわさが広まったため、売れ行きはあまりよくありませんでした。
たしかに今の甘くておいしいチョコレートを知っている私でも、新たなフレーバーに挑戦する時は「ほんとうにおいしいのかな?」と不安になります。
その後、森永製菓が1918年(大正7年)ごろから本格的にチョコレートの製造を開始、販売したことで、現代のチョコレート人気へとつながっていきました。
まとめ
現在は健康志向のチョコレートもたくさん出ており、罪悪感なくチョコレートを楽しむ事ができます。
また、甘みの少ないチョコレートもたくさんあるので、男女問わず多くの方がチョコレートを口にしているのではないでしょうか。
そんなチョコレートの名前の由来に思いを馳せながらビターチョコレートを口にして、当時を疑似体験というのもおもしろいですね。