寒かった冬が終わり、あたたかな春の風を感じると「桜」が恋しくなりますよね。
既に満開の桜を楽しみにしたり、お花見の計画を立てたりしている人も多いのではないでしょうか?
そんな桜好きな人におすすめなのが「御衣黄桜(ギョイコウザクラ)」です。
「桜=ピンク色の可愛らしい花」というイメージがありますが、御衣黄桜は世にも珍しい緑の花を咲かせる桜。
この記事ではそんな御衣黄桜にスポットを当て、特徴や由来、花言葉をお伝えしていきますのでよろしくお願いします。
緑の桜?御衣黄桜(ギョイコウザクラ)ってどんな桜?
御衣黄桜とは、バラ科サクラ属に属する、4月中旬から下旬ごろに咲く桜です。
栽培品種はオオシマザクラ系サトザクラに分類され、江戸時代に京都の仁和寺で栽培されたのが始まりだといわれています。
緑の桜を咲かす理由は、花びらがクロロフィルという緑色の葉緑体を多く持つ性質があるため。
花びらは重なり合って咲く八重咲きで、別名「緑桜」「黄桜」とも呼ばれています。
珍しい桜ですが、沖縄以外の日本各地に咲いており、地域によって花のサイズや色合いに差が見られることも特徴です。
御衣黄桜の特徴
葉と見間違えるほど鮮やかな緑の桜を咲かせるところが、御衣黄桜の大きな特徴。
桜の花びらは最盛期を過ぎると、緑から次第に白または黄色に変化していきます。
花びらが変色するとともに花の中心部には赤みが表れ、散る直前まで変化を楽しめる桜としても有名です。
10枚から15枚ほどつく肉厚な花びらは、重なり合って咲くため、見た目にボリュームが出て華やかになるところも魅力といえます。
日本の桜は年々品種が増え、現在600種類以上ありますが、緑の桜を咲かせるのは御衣黄桜のみです。
御衣黄桜の名前の由来
御衣黄桜と名付けられたのは、江戸時代中期。
当時の貴族が着用していた衣類は「御衣(ぎょい)」と呼ばれ、御衣黄桜とよく似た萌黄色をしていたことが名前の由来です。
また「黄」は、一部の高貴な人のみが着用できる色でもありました。
御衣黄桜は身分の高い人の観賞用植物として、主に京都で大切に育てられていたそうです。
そんな御衣黄桜は、ドイツの医師兼植物学者のシーボルトが持ち帰った、植物標本12000点の中の1点に含まれていたことでも知られています。
御衣黄桜の花言葉は?
御衣黄桜には「永遠の愛」「優美」という花言葉があります。
高貴な御衣黄桜にぴったりの花言葉ではないでしょうか。
この他にも、あまり知られていませんが「心の平安」「精神美」という花言葉も持っており、美しい緑の桜は人の心を癒してくれる効果があるといわれています。
御衣黄桜の派生種がある!
理化学研究所が2007年に開発した、淡い黄色の桜「仁科蔵王」は、御衣黄桜の派生種です。
仁科蔵王桜は、御衣黄桜に重イオンビームを照射し、突然変異を誘発させることで作り出されました。
開花時期は御衣黄桜と同じ4月中旬から下旬ですが、花の形は半八重で、大きさも4~5センチと大きく、御衣黄桜とはまた違った魅力を持つ新品種になっています。
緑の桜を自宅でも!御衣黄桜は自分で育てられる?
珍しい緑の桜ということもあり「育てるのが難しそう」と考える人もいるかもしれませんが、御衣黄桜の育て方は一般的な桜と同じです。
日本各地で育てることができ、桜を植えられるスペースさえあれば、育てるのはそれほど難しくありません。
御衣黄桜を自宅で育ててみたいという人は、暑い時期を避け、水はけのよい土に苗を植えましょう。
その後は、必要に応じて水や、肥料を与えてくださいね。
ただし、御衣黄桜の枝を切ってしまうと切り口から病気になりやすいため、木がある程度育ってきてもできるだけ剪定しないのがポイントです。
どうしても切りたい枝がある場合は、切り口を殺菌剤等で処置し、細菌が侵入しないようにしましょう。
緑色の桜だけじゃない!珍しい桜たち
御衣黄桜の他にも、日本にはまだまだ珍しい桜が存在することをご存知ですか?
この項目では、御衣黄桜以外の珍しい桜を3種類に厳選してご紹介します。
鬱金(ウコン)
黄色い花を咲かせ、日本に自生する鬱金桜は30本ほどととても希少な桜です。
御衣黄桜と同じように、散り際には花びらが白っぽくなり、中央に赤みが差します。
八重紅虎の尾(ヤエベニトラノオ)
ピンクの花びらを16~30枚も付ける、八重咲きの大輪花です。
主に京都で栽培され、花が枝に密集して虎の尾のように見えることから、この名がつけられました。
静香(シズカ)
別品種の桜「天の川」と「雨宿り」を交配させて生まれた、白色の花を咲かせる桜です。
花びらは最盛期を過ぎると少しずつ白からピンクに染まっていき、上品な香りを放ちます。
まとめ
御衣黄桜は、珍しい緑の桜です。
ソメイヨシノが散った4月中旬から下旬ころにかけて咲き始めるので「お花見シーズンを逃しちゃったけどお花見がしたい!」という場面にもぴったり。
また、花びらの色が少しずつ変化する桜なので、近所に御衣黄桜がある人は、毎日観察しても楽しそうですね。
満開の御衣黄桜は、普段の桜とはまた一味違った、趣深い景色を見せてくれます。
この春は、ぜひ満開の御衣黄桜を見に行ってみてはいかがでしょうか。