毎年10月1日になると、街頭で「赤い羽根共同募金にお願いします」という声を聞くことがあります。
ボーイスカウトやガールスカウト、制服を着た生徒さんたちが募金を呼び掛けている姿を見かけることがありますよね。
赤い羽根は有名ですが、そのほかにも青い羽根、緑の羽根、黄色い羽根などあることをご存知でしょうか?
赤い羽根以外にどんな羽根のついた募金があるのか、また違いは何なのか、今回の記事で解説しますのでご覧いただければと思います。
赤い羽根、緑の羽根の色の違いは社会運動活動の中身!
赤い羽根、青い羽根、緑の羽根・・・
皆さんが知っているだけでも羽根の色の種類はたくさんありますよね。
でもそれぞれの羽根の色にはどういう違いがあるか、ご存知でしょうか?
これは結論を言ってしまうと、「社会運動活動の中身の違い」です。
後ほど詳しく解説いたしますが、赤い羽根は、「自分が住んでいる町を良くするしくみとしてさまざまな地域福祉の課題解決に取り組む民間団体を支援する」という目的で社会運動が行われています。
青い羽根は海で遭難した人々を救助する、全国52,000人の「ボランティア救助員の活動を支援する」という目的で社会運動が行われています。
また、緑の羽根は「砂漠化防止のための植林」や「東日本大震災、熊本地震などの被災地の復興のための海岸林の再生化」などの目的で社会運動が行われています。
そのため、あなたが支援したい社会運動の中身に応じて、どの色の羽根に募金をすればいいのかが変わってくるんです。
これが羽根の色が異なる理由です。
羽根の色の種類は7つ!
羽根の色の違いには社会運動活動の中身の違いがあると先ほど解説しましたが、そもそも羽根の色は全部で7種類あります。
この記事ではそれぞれの羽根の中から、6種類の羽根について解説していきたいと思います。
1.赤い羽根
「募金」というと「赤い羽根共同募金」を思い浮かべる人も少なくないと思います。
「赤い羽根共同募金」は社会福祉事業法に基づいて行われる
民間の募金活動である「共同募金」の代名詞とも言えますね。
まずは、この赤い羽根について、特徴や募金した場合の使い方などの「ポイント」を解説していきますね。
ポイント1:赤い羽根の特徴
赤い羽根は、募金をしてくれた皆様の身近な地域の福祉活動の応援など、身近な場所で募金のお金が役立たれているのが特徴です。
平成30年度では、年間176億円もの募金が集まりました。
ポイント2:募金の使い道
集まった募金は、各都道府県の委員会で配分を決めて、ホームページでも公表しています。
集まった募金の約7割は、募金をいただいた地域で使われ、残りの約3割は、皆さまの住んでいる市区町村を越えた広域的な課題を解決するための活動に、都道府県の範囲で使われています。
対象は「障がい者」「高齢者」「子ども」と、それぞれで、「障害者スポーツ」や「高齢者の配食サービス」、など、さまざまな支援活動がされています。
このような市民の地域福祉活動を対象として、全国で5万144件の援護を必要としている民間の団体や福祉施設に助成がされたそうです。
年次報告書に記載された、具体的な活動の事例としては、
●産後うつ、孤立などを防ぐ子育て支援(群馬県 キッズバレイ)
●子ども食堂支援(福島県 あだたら青い空)
●盲ろう者のための生活訓練事業(千葉県 NPO法人千葉盲ろう者友の会)
●DV被害女性支援者の養成講座を開催(秋田県 びーらぶ秋田)
●子どもたちと高齢者に交流の場を提供(宮崎県 NPO法人手仕事舎そうあい)
などがあります。(https://www.akaihane.or.jp/wp/wp-content/uploads/2018-19AnnualReport.pdf)
その他にも、地域の一人暮らしの高齢者が集まる場を作ったり、地域の障がい者が働ける施設を運営したり、子どもたちが安心安全に地域で暮らす環境を整えたり、高齢者や子どもなど「地域福祉活動」への助成に主に募金は使われています。
ポイント3:災害義援金活動もある
また、被災された方への見舞金となる「災害義援金」の募集・配分や災害ボランティア活動等を支援するための「災害等準備金」の積み立て・助成など、大規模な自然災害に際しても、支援活動も実施しているそうです。
募金がいろいろなことに使われていて、ちょっとびっくりしました。本当に身近な場所に寄付が使われているんだな、と感じました。
赤い羽根共同募金(https://www.akaihane.or.jp/kifu/)
ポイント4:領収書の発行も可能
街頭で募金を募っている方の募金箱に寄付すると、赤い羽根を胸に付けてくれますよね。
じゃあ、領収書は渡されるのかしら?と思う方もいらっしゃると思います。
銀行振込、コンビニ払い、郵便振替など、払い込み用紙を使用する払い方では、払い込み用紙が領収書の代わりになるそうです。
ネットで寄付する場合は、募金が到着した日よりおよそ2か月後に領収書が発行されるそうです。
その他の寄付の方法では領収書を受け取れるか確認できませんでした。
ポイント5:税制上の優遇もある
赤い羽根募金に寄付すると、個人の場合、「寄附金控除」、所得税の「所得控除」または「税額控除」が受けられます。
さらに、住んでいる都道府県の共同募金会に寄付した場合は、住民税の税額控除の対象になるそうです。これは知っておくと便利ですね。
シンボルマークである「赤い羽根」はニワトリの羽根を赤く染めたものです。
(ちなみにほかの羽運動の羽もニワトリの羽です。)
当初は、ブリキのバッジだったそうですが、コストが高く大量に配るには適さなかったため、当時、アメリカの共同募金会で水鳥の羽根を赤く染めて使用されていたのを参考に、昭和23年にブリキのバッジから「赤い羽根」へと変更されたそうです。
また「赤い羽根」は商標登録もされています。
2.青い羽根
「青い羽根」はご存知ない方もいらっしゃるかと思いますが、船舶事故やマリンレジャーなど、海での事故で遭難した人々の救助活動にあたる、全国のボランティアの方々を支援する募金です。
その特徴と活動内容、募金の使い道などのポイントを解説します。
ポイント1:青い羽根の特徴
青い羽根は「全国52,000人のボランティア救助員の活動を支える」という特徴があります。
「青い羽根募金」とは、海難救助活動をする民間ボランティア救助員のための募金です。社団法人日本水難救済会が、昭和25(1950)年に「青い羽根募金」として発足させ現在に至っています。
ポイント2:活動の主体はボランティア救助員
海で遭難した場合、海上保安庁(118番)が担当します。日本水難救助会のボランティア救助員も一緒に救助を担当します。海上保安庁は海上での捜索に当たる国の機関なので、基本費用は発生しません。
海難救助は天候で荒れた海などの厳しい条件下で行われるため、効果的かつ安全な救助活動を行えるための訓練や、ライフジャケット、ロープなどの救助資器材の整備も必要となります。
また、救助艇を出すための燃料や救急セット、AEDなども必要となります。
救助船の多くが、救助活動をするボランティアの方が個人で所有する漁船だそうです。
救助はボランティアで行っているので、これらに必要な資金は、全国的な募金活動等によって集められているんですね。
ポイント3:税制上の優遇がある
毎年7月1日から8月31日までの2か月「青い羽根募金強調運動期間」として、全国40の地方水難救済会と連携して全国的な募金活動を展開していて、平成28年度の募金額は約89,700,000円でした。
また、個人で寄附した場合には、「所得控除」又は「税額控除」のいずれかの方式を選択し、寄附金控除を受けることができますよ。
青い羽根募金(https://www.mrj.or.jp/donation/method.html)
ポイント4:青い羽根グッズがある
赤い羽根募金と同じように青い羽根がもらえるのかと思ったら、募金された方で希望する方にはグッズが後日郵送されるそうです。500円以上の募金をされた方には、青い羽根バッジ又はマスコットバッジが、また、1,000円以上の募金をされた方には、マスコットキーホルダーだそうです。
青い羽根グッズを希望しない方には特に何もないようです。
日本水難救助会のホームページに載っていますが、可愛いですよ。
(https://www.mrj.or.jp/donation/method.html)
海の事故の約6割が海水浴、釣り、クルージング、ダイビングなどのマリンレジャーだそうです。
もし、海で何かあったときには献身的に救助活動に励むボランティア救助員の方々へ感謝しつつ、募金が集まってほしいと思います。
3.緑の羽根
平成7年「緑の募金」と改められた「緑の羽根募金」は植林活動を支援するのが特徴です。
「緑の羽根募金」は、第二次世界大戦によって荒廃した国土に緑を復活させる目的で、国土緑化運動ポスターの原画と標語の募集がはじまった昭和25年から行われております。
募金期間は1月15日~5月31日 および9月1日~10月31日となっています。身の回りの緑化や緑化意識の向上に大きな役割を果たしてきました。
平成7年には、緑の羽根募金運動の基盤強化と活動内容の多様化を図る目的で、「緑の募金による森林整備等の推進に関する法律」に基づく「緑の募金」として、全国で募金運動が行われています。
具体的な活動例としては、植樹、間伐、東日本大震災、熊本地震などの復興支援や、子供たちへの森林との関わりを理解してもらう、森林環境教育などがあります。私が小学校の時に、林間学校がありましたが、それも今思えば森林環境教育だったのかもしれません。自然に親しむという感じでしたから。
緑の羽根も所得税の優遇措置があります。
税額控除方式か所得控除方式の2方式のうち、有利な方式を選択できます。
4.水色の羽根
「水色の羽根」は、昭和44年に漁船海難遺児育英会が始め、漁船海難遺児育英資金として活用されています。(http://www.ikueikai.jf-net.ne.jp/ikuei/ikuei03.html)
漁業従事中、海難などの事故で死亡・行方不明になった方々の遺児の学資・奨学金などの育英資金に当てられます。
設立当初はせめて給食費程度でも、ということでしたが、現在は幼児から大学生まで、月額12,000円から50,000円までの学費給与事業が行われています。
教育にはお金がかかってしまうので、援助してもらえると助かりますよね。
また、募金をしてくださった方は水色の羽根をいただけるそうですが、羽根を付けている方をぜひ見かけたいです。
5.黒い羽根
昭和34年から昭和35年にかけて行われた、炭鉱不況による炭鉱失業者に救済の手を差し伸べる助け合い運動が「黒い羽根運動」です。
福岡県で始まりましたが、北海道などの各炭鉱地区でも共通の問題であったので、
全国各地で募金及び衣類や食料、学用品など救援物資を送る支援運動が行われました。
石炭が「黒いダイヤ」と言われたことにちなんで、黒い羽根になったそうです。
6.白い羽根
「白い羽根募金」は日本赤十字社が昭和25年から8年間だけ行った募金活動です。
日赤は一貫して、会費や寄付で運営されてきましたが、第二次大戦後、財政状況が苦しくなると、街頭で寄付活動を開始しました。
昭和23~24年は、共同募金会と合同で募金活動を行ったが、昭和25年からは日赤単独で事業資金を募集することにしました。
街頭募金の寄付済の証としてブリキの赤十字マークをつけた白い羽根を使用することになったと言われています。
羽根の色の違いについてまとめ
羽根の色の違い、その数、それぞれの羽根の活動内容を解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
赤い羽根しか知らなかった私にとっては、「こんなに色のついた羽根の募金があるの?!」という感じでした。
また、その募金の活動内容を知れば知るほど、私たちの生活に関係していることを知ることができますね。
支援の輪を通してより良い未来をみんなで作っていければいいですね。