スーパーマーケットや八百屋さんに行くと、必ずといっていいほどほぼ1年中目にすることが多いのが、しいたけ、マイタケ、エリンギ、シメジなどのきのこ類。栽培技術の向上できのこの旬がいつなのか忘れてしまいそうですね。
しかし、きのこは一般的に秋が旬と言われていますが、それはいったいなぜなのでしょうか?
キノコの旬はなぜ秋?
一般的に作物は、秋に実を結んで種を落とし、春に芽吹きます。そして成長して養分を蓄えて秋にはまた実を結ぶというサイクルになります。
生き物の分類的には、きのこは担子菌類(きのこ)子嚢菌類(しのうきんるい:酵母、カビ、きのこ)の一部になりますが、きのこも同じような生育サイクルを取ります。
前年の秋にこぼれ落ちた胞子が春から秋にかけて、キノコの種菌を植え付け、栽培するための培地である「菌床」を形成してゆき、この菌床が発達すると、菌類が胞子形成のために作る、複合的な構造である「子実体(しじつたい)」という胞子をばら撒く組織ができます。
この子実体が、いわゆるきのこと呼ばれるものです。その時期がちょうど秋になる種類が多く、食べられる種類のきのこのほとんどがこの時期に当たります。
ですから、秋に生えてくるきのこが多いので、きのこの旬は秋と感じるのではないでしょうか。
日本には4,000~5,000種類くらいのきのこがありますが、食べられるものは100種類です。ただ、一般的に食べられているのはおよそ15種類くらいです。
きのこは、倒れた木や切り株などによく発生したことから「木の子」と言われるようになったんですよ。
また、特定の樹木によく発生したことから、椎茸(シイタケ)、榎茸(エノキタケ)、松茸(マツタケ)などのように樹木と結びついた呼び名もあるんです。
椎の木に良く発生するから椎茸って、言われてみると、そうなんだぁ~って思いますね。
春や冬には生えてこない?
食用のきのこが秋に多いのはわかりましたが、じゃあそれ以外の季節には生えてこないのかしら?と思いますよね。実はきのこはほぼ1年中生えてくるものもあるのですが、特定の季節にしか生えてこないものもあるのです。
春のきのこ
春に生えてきて食べられるきのこは、種類が少ないのですが、アミガサタケやツチナメコ、ハルシメジ、カンソウタケ、ササクレヒトヨタケ、トガリアミガサタケ、ナラタケ、ヌメリスギタケ、ハタケシメジ、ハルシメジなどがあります。
秋はたくさんのきのこが出るんですけど、春は、種類が限定されますね。
代表的なのは、アミガサタケ。フランスではモリーユという人気のキノコです。
網目がキレイなきのこですが、生で食べると毒があるので必ず加熱して食べるようにしてくださいね。
アミガサタケ
トガリアミガサタケやナラタケも生で食べると中毒を起こすと言われていますので、ゆでて食べるようにしてくださいね。
ヌメリスギタケはナメコのようなヌメリがあるので、キノコ蕎麦の具などにするといいと思います。また、ヌメリスギタケは口当たりが良く、美味しいと言われているので、原木栽培の為の種菌も販売されています。
冬のきのこ
冬に生えてくて食べられるきのこは本当に種類が少なくて、野生のエノキタケ、キヌメリガサ、フユヤマタケなどがあります。
きのこの栄養は?
きのこはどの種類も100g20kcal前後で低カロリーの食材として知られていますが、低カロリーなのに、実は栄養豊富な食品なんですよ。きのこの栄養について2つのポイントがありますので説明していきますね。
ポイント1.食物繊維が多い!
きのこは食物繊維が豊富な食材です。食物繊維は、おなかの調子を整えたり、腸内の有害な物質を吸着して排泄してくれたりなどの腸内環境の改善に効果的です。現在のほとんどの日本人が不足している食品成分なので、積極的に摂りたい栄養素のひとつです。
実際どのくらいの食物繊維がきのこに含まれているのか、100g中に含まれる食物繊維をほかの食品と比べてみますと、(大塚製薬:食品に含まれる食物繊維量一覧から引用しました)
キクラゲ黒 (57.4g)
干しヒジキ (43.3g)
干しシイタケ (41.0g)
とあります。
食物繊維が多いと言われる食材の中でも、キノコ類の食物繊維含有量はすごいですね。
食物繊維は水分を含んでふくらむ性質なので、少量でもお腹がいっぱいになるため、食べすぎや肥満の予防になりますね。そして、整腸効果もあるので便秘の改善にも繋がっていくのがうれしいですね。
ポイント2.ビタミン・ミネラルが豊富!
きのこは低カロリーだとお話ししましたが、低カロリーだと栄養素が含まれてない、と思っていませんか?
キノコにはほかの食材に負けないくらいの栄養素がたっぷり含まれているんです。
きのこの種類によって異なりますが、きのこに含まれる栄養成分は、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンDや、カリウムやリン等のミネラル類が含まれています。
ビタミンやミネラルは人間に不可欠な栄養素なのに毎日の食事で不足しがちなのですが、きのこを食べることで補えるのは嬉しいですよね。特に疲労回復や美肌作りに欠かせないビタミンB1、ビタミンB2が豊富なのは、「食べなきゃ!」って思っちゃいますよね。
また、免疫機能を高める効果があり抗悪性腫瘍薬(抗がん剤)などの薬品に用いられることがある「βグルカン」という成分が含まれているきのこや、腸に取り込まれたカルシウムを骨に定着させる働きがある、ビタミンDが豊富に含まれているきのこもあります。
ビタミンDはカルシウムと一緒に食べることで骨粗しょう症の予防にも効果的なので、育ち盛りのお子様や、年配の女性の方にもオススメです。
キノコは洗う?
秋は出回るきのこが多くなってきて、お料理にも使う機会が多くなってくると思います。
調理の時に、「きのこって洗うの?」と思ったことはありませんか?
料理番組でキノコの調理場面を見ていると、洗わずに使っていたり、料理本でも叩いてほこりを落とすとだけ書いてあったりしてちょっと不安に思ったこともあると思います。
料理人や料理研究家の方たちで「きのこは基本洗わない方が良いです」という方は少なくありません。
理由は、まず洗うときのこの栄養素や風味が水と一緒に落ちてしまうから、後すぐに使うなら良いけど後々使う際洗ってしまうとベチャっと水を吸ってしまい品質を落とすからだそうです。
「う~ん、きのこの汚れはそれで大丈夫なの?」と気になる方は、根の部分は切り落とした後で、ふきんやキッチンペーパーでさっとほこりや土を払う程度で問題ないかと思います。
まとめ
最近ではほぼ1年中スーパーなどできのこを見かけるため、以前ほどきのこで季節感を感じることが少なくなってきました。
でも、秋になるとスーパーやテレビで「お鍋に」「ソテーで」とかの言葉を見聞きすると、きのこって秋のものなのかしら?と思ったりしますよね。
低カロリーで栄養価も豊富で美味しいきのこを摂って、秋を満喫してみてもいかがでしょうか。