たんぽぽは、日本人にとって最も身近な草花の一種。春になると道端や空き地、土手などで、黄色の可愛い花が咲く様子を見ることができます。また、子供のころには真っ白の綿毛を飛ばして遊んだ人もたくさんいるのではないでしょうか。
そんな親しみ深いたんぽぽですが、漢字で書くとどのような字が使われるのか知らない人もいるかもしれません。漢字は知っていても、どうしてそのように書かれるのかわからない人も多いでしょう。
そこで今回は、たんぽぽの漢字について詳しくご紹介します。たんぽぽの語源や由来も解説していますので、よろしくお願いします。
たんぽぽの漢字は?名前の由来もチェック!
たんぽぽは、キク科タンポポ属の植物。明るいイメージの花にぴったりの可愛い名前が付けられています。ここでは、たんぽぽの名前の由来や漢字をご紹介します。
たんぽぽの名前の由来・語源
たんぽぽの名前の由来については、様々な説があります。
■「たんぽ」に似ている
たんぽぽは、花が咲き終わると白い綿毛ができます。丸い綿毛の様子が、綿を丸めて布で包んで作られる「たんぽ」に似ていることから、「たんぽ穂」と呼ばれるようになったと考えられています。
■田んぼのあぜ道に咲く
たんぽぽは、田んぼのあぜ道によく咲いているため、「田菜」と呼ばれていたようです。「たな」が次第に「たん」に変化し、綿毛が毛羽立つ様子を表す「ほほける」の「ほほ」を合わせてたんぽぽという言葉ができたと言われています。
■鼓の音に例えられた
江戸時代、子供たちが茎に切り込みを入れて水に浸け、鼓のように反り返った形にして遊んでいたことから、たんぽぽは「鼓草」と呼ばれていました。鼓を叩いたときに鳴る「タン」「ポポ」という音が由来で、「たんぽぽ」という言葉ができたという説も有力です。
■たんぽぽの英語の由来は?
たんぽぽは、英語で「ライオンの歯」を意味するdandelion(ダンデライオン)です。たんぽぽのギザギザした葉の様子を、ライオンの歯並びに例えて名前が付けられました。
(白いタンポポ)
たんぽぽを漢字で書くと?
たんぽぽの漢字は「蒲公英」です。もともと中国にあった漢字表記の「蒲公英」を、そのまま植物の和名である「たんぽぽ」に当てて漢字が決められました。
つまり中国語の「蒲公英」を日本では「たんぽぽ」と呼んでいます。そのため、日本人は「蒲公英」の字や音、意味がたんぽぽと関係ないと感じる人が多いようです。
なお、「蒲公英」という漢字が日本で最初に使われたのは、1671年の『閲甫食物本草』です。現在ではひらがなやカタカナで表記されることがほとんどですが、今でも漢字で書く時には「蒲公英」が使われています。
たんぽぽの漢字「蒲公英」の由来は?
たんぽぽを表す漢字「蒲公英」の由来は、たんぽぽを開花前に採り、乾燥させて作られる「蒲公英(ホウコウエイ)」という漢方の名前です。
しかし、漢方が蒲公英(ホウコウエイ)と呼ばれるようになった理由は中国でも詳しくわかっていません。ただし、「蒲」には伏せる、「公」には力強い、「英」には花草という意味があります。生命力が強く、道端など厳しい環境でも咲くたんぽぽの様子がもとで、この漢字が使われるようになった可能性もあるでしょう。
たんぽぽの花言葉や活用法は?
ここからは、たんぽぽの花言葉や活用方法などをご紹介します。
たんぽぽの花言葉
ヨーロッパでは、古くからたんぽぽの綿毛を使った恋占いが行われていました。そのため、たんぽぽには「愛の神託」や「神託」という花言葉があります。また、真っ白な綿毛の様子から「真心の愛」という意味も持っています。
一方、たんぽぽは綿毛が飛び散る様子で「別離」も表します。明るいイメージの花とは違う悲しい花言葉に驚く人もいるでしょう。
たんぽぽの活用方法
独特の風味や苦みのあるたんぽぽは、ルッコラと味が似ており、フランスをはじめとした国では野菜として食べられています。日本では食用にされることが減りましたが、葉をサラダやお浸し、胡麻和えなどにすると美味しいです。また、花は天ぷら、根はきんぴらにすると豊かな風味を楽しめます。
さらに、乾燥させたたんぽぽの根を煎って作られるたんぽぽコーヒーは、現在日本でも注目されているドリンクです。ポリフェノールやビタミン、ミネラルなどが含まれており、健康や美容に気を使う人から人気を集めています。カフェインが含まれていないため、妊婦さんでも飲めるのも魅力です。
まとめ
たんぽぽは、漢字で書くと「蒲公英」です。古くから中国にあった漢字表記を、そのまま「たんぽぽ」という日本語に当てて、今でも日本で使われています。
黄色の花やふんわりとした綿毛の様子が魅力のたんぽぽは、食用としても使われていた植物です。料理に使ったり、たんぽぽコーヒーを作ったりしても美味しいので、いつもとは少し違う方法でたんぽぽを楽しんでみてはいかがでしょうか。